地方競馬とは?仕組み・主催者・馬券・中央競馬との違いを2026年版で徹底解説
地方競馬とは、競馬法に基づき、都道府県や指定市町村などの地方公共団体が主催する競馬です。勝馬投票券(一般にいう馬券)を発売する公営競馬の一つで、中央競馬とは主催者や開催日程、競馬場の特徴、運営を支える制度などに違いがあります。
2026年現在、地方競馬は全国12都道県の15競馬場で開催されています。平日や夜間にもレースが行われ、インターネット投票の普及によって、競馬場に足を運ばなくても楽しめる環境が広がりました。一方、地方競馬を理解するには、レースの規模や知名度だけでなく、法律上の位置づけや地方自治体が主催する理由まで知ることが欠かせません。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 地方競馬の定義:競馬法に基づき、地方公共団体などが主催する公営競馬で、勝馬投票券の発売を伴う。
- 運営の仕組み:2026年現在、主催者は14団体、開催競馬場は15場。地方競馬全国協会(NAR)が登録や免許、開催支援などを担う。
- 中央競馬との違い:主催者、開催日程、コースの特徴などが異なる。地方競馬にも全国的な注目を集める重賞競走がある。
【地方競馬とは?】競馬法が定める公営競馬の位置づけ
地方競馬の基本を理解するうえで最初に確認したいのが、法律上の定義です。地方競馬は単に地方にある競馬場で開催されるレースを指すのではありません。誰が主催し、どのような制度の下で勝馬投票券を発売するかによって区分される競馬です。
競馬法上の地方競馬とは何か
日本の競馬制度の基本となる法律は、1948年7月に施行された競馬法です。同法第1条の2では、日本中央競馬会(JRA)が行う競馬を中央競馬、都道府県または指定市町村が行う競馬を地方競馬と区分しています。
同条では、法律で認められた主体以外が勝馬投票券などを発売して競馬を行うことも制限しています。つまり、地方競馬は自由に開催できる民間興行ではなく、法律に基づいて開催主体や実施方法が定められた競馬です。
なお、すべての市区町村が自由に競馬を主催できるわけではありません。市町村については、競馬法に定める要件に基づく指定など、法令上の条件があります。特別区も同法の市町村に関する規定に含まれます。
地方競馬と公営競馬は同じ意味なのか
地方競馬を調べると、「公営競馬」という言葉もよく登場します。両者は密接に関係していますが、使われる場面には違いがあります。
- 地方競馬:競馬法に基づき、地方公共団体などが主催する競馬の法制度上の区分。
- 公営競馬:地方公共団体などが主催する競馬を表す一般的な呼び方。
- 公営競技:競馬のほか、競輪、ボートレース、オートレースなどを含む、法律に基づいて実施される競技の総称。
したがって、地方競馬は公営競馬の代表的な形態と理解できます。ただし、「公営競技」と「地方競馬」は同義ではありません。また、中央競馬も法律に基づく公的な制度の下で開催されていますが、通常は地方競馬とは別の区分として扱われます。
地方競馬が担う公共的な役割
地方競馬には、競走を開催してファンに娯楽を提供するだけでなく、地方財政の改善や畜産振興に寄与する役割があります。競馬法第1条も、馬の改良増殖などを通じた畜産振興と地方財政の改善を制度の目的として掲げています。
地方競馬情報サイトが説明する制度の仕組みによると、売得金の一部は地方競馬全国協会(NAR)に交付され、畜産振興や競走馬生産振興に関する事業などに活用されます。また、主催自治体への分配金などを通じて、地方財政にも関係しています。
ここで押さえたいのは、馬券の売上全額が自治体の利益になるわけではないという点です。払戻金や制度上の交付・納付などを含む資金の流れを区別することで、地方競馬の公共的な役割を正しく理解できます。
【主催者は誰?】地方競馬の仕組みと14団体・15競馬場の関係
地方競馬の運営は、主催者と地方競馬全国協会(NAR)が役割を分担する仕組みになっています。2026年2月時点の地方競馬情報サイトによると、主催者は全国14団体で、内訳は道県2団体、市2団体、一部事務組合10団体です。開催競馬場は、実際に地方競馬が開催されている15場となっています。
地方競馬の主催者は都道府県だけではない
地方競馬の開催主体には、都道府県や市だけでなく、複数の地方公共団体で構成する一部事務組合もあります。これは、競馬開催に必要な業務や費用、収入に関わる事務などを共同で担うための仕組みです。
主催者と競馬場の関係を理解するには、次のような代表例を見るとわかりやすくなります。
- 北海道:門別競馬場
- 帯広市:帯広競馬場
- 岩手県競馬組合:盛岡競馬場・水沢競馬場
- 埼玉県浦和競馬組合:浦和競馬場
- 千葉県競馬組合:船橋競馬場
- 特別区競馬組合:大井競馬場
- 神奈川県川崎競馬組合:川崎競馬場
- 兵庫県競馬組合:園田競馬場・姫路競馬場
- 高知県競馬組合:高知競馬場
- 佐賀県競馬組合:佐賀競馬場
このほか、石川県と金沢市が関係する金沢競馬、岐阜県地方競馬組合が主催する笠松競馬、愛知県競馬組合が主催する名古屋競馬などがあります。
なお、競馬場の数と主催者の数は一致しません。一つの主催者が複数の競馬場で開催する場合があるためです。また、札幌競馬場と中京競馬場は地方競馬の開催実績がなく、地方競馬の現行開催場15場には含まれません。
NARは競馬場を直接運営する主催者なのか
地方競馬全国協会(NAR)は、地方競馬の主催者そのものではなく、全国の地方競馬を支える機関です。競馬法に基づく組織として1962年8月1日に設立され、2008年1月には地方競馬主催者が主体となる地方共同法人へと移行しました。
NARの主な業務は、馬主・競走馬の登録、調教師や騎手の免許、騎手の養成、競馬開催に関わる専門職員の派遣、公正な競馬を実施するための支援などです。開催日程や競走体系に関する調整・助言も担っています。
一方、各主催者はレースの編成、開催日程の実施、勝馬投票券の発売に関する業務、競馬場の整備、広報などを担当します。農林水産省の指導監督の下、主催者とNARがそれぞれの役割を果たすことで、全国の地方競馬が成り立っています。
【地方競馬と中央競馬の違い】主催者・開催日程・コースを比較
地方競馬と中央競馬の違いを理解するには、レースの知名度や賞金額だけで比較するのではなく、運営主体と競走の特徴を分けて考える必要があります。両者は同じ競馬法に基づく競馬ですが、開催を担う組織や日程、コース環境などが異なります。
| 比較項目 | 地方競馬 | 中央競馬 |
|---|---|---|
| 主催者 | 都道府県、指定市町村、地方公共団体による一部事務組合など | 日本中央競馬会(JRA) |
| 競馬場 | 全国12都道県の15競馬場で開催 | 札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、中京、京都、阪神、小倉の10競馬場 |
| 開催日程 | 平日・休日を問わず、全国のどこかでほぼ毎日開催 | 主に土日を中心とした開催日程 |
| コースの特徴 | ダート競走が中心。比較的コンパクトで、コーナーのきついコースも多い | 芝・ダートの両方があり、競馬場ごとにコースや距離の特徴が異なる |
| 競走馬・騎手の制度 | NARが登録や免許などを担当 | JRAが中央競馬の登録・免許制度を担当 |
| 全国的な交流 | 交流競走やダートグレード競走を通じ、中央競馬の所属馬なども出走 | 地方競馬との交流競走に所属馬が出走する場合がある |
地方競馬は中央競馬よりレベルが低いのか
地方競馬と中央競馬を比較する際によくある誤解が、「地方競馬は中央競馬よりレベルが低い」という一律の見方です。競走馬の所属や出走条件、賞金体系などには違いがありますが、それだけで全レースの競走能力を評価することはできません。
地方競馬には、各競馬場の重賞競走に加え、全国的な交流を伴うダートグレード競走があります。大井競馬場の東京大賞典をはじめ、地方競馬の舞台で中央競馬所属馬と地方競馬所属馬が競う大レースも実施されています。
また、地方競馬のコースは比較的コンパクトなものが多く、コーナーの通過や位置取りが結果に影響する場合があります。距離や馬場状態、コース形状、出走馬の適性を考慮しなければ、単純に所属区分だけで優劣を判断することはできません。
地方競馬と中央競馬は完全に別々の世界ではない
両者は主催者や登録制度が異なる一方、交流競走を通じて競走馬や騎手が競馬場の枠を越えて活躍する機会があります。地方競馬で経験を積んだ馬が中央競馬へ移籍したり、中央競馬所属馬が地方競馬の重賞に出走したりすることもあります。
したがって、地方競馬と中央競馬の違いを理解するうえでは、制度上の区分と、実際の競走における交流の両方を見ることが大切です。

【馬券の種類と平地競走】地方競馬の基本知識を整理
地方競馬を理解するうえで欠かせないのが、勝馬投票券の種類とレースの形式です。馬券の仕組みを知ると、出馬表やレース結果に記載される用語も読み取りやすくなります。
勝馬投票券とは何か
一般に「馬券」と呼ばれるものの正式名称は、勝馬投票券です。購入者は、決められた投票法に従って馬や馬の組み合わせを選び、的中した場合に所定の払戻金を受け取ります。
地方競馬情報サイトの案内では、単勝、複勝、馬連、馬単、ワイド、三連複、三連単、枠連複、枠連単などが基本的な投票法として説明されています。実際に発売される種類は競馬場や発売サービスなどによって異なる場合があります。
- 単勝:1着になる馬を当てる。
- 複勝:所定の着順以内に入る馬を当てる。通常は3着以内で、出走頭数が7頭以下の場合は2着以内。
- 馬連:1着と2着になる2頭の組み合わせを、順不同で当てる。
- 馬単:1着と2着になる2頭を、着順どおりに当てる。
- ワイド:3着以内に入る2頭の組み合わせを、順不同で当てる。
- 三連複:1着から3着になる3頭の組み合わせを、順不同で当てる。
- 三連単:1着、2着、3着になる3頭を、着順どおりに当てる。
馬番号と枠番号も区別が必要です。馬番号は個々の競走馬に付けられた番号で、枠番号は馬をまとめた枠の番号です。枠番号を使う投票法は、出走頭数などの条件によって発売されます。
また、同じ日の複数レースについて的中を狙う重勝式の投票法もあります。対象となるレースや発売方式はサービスごとに異なるため、購入前に発売条件を確認することが欠かせません。
地方競馬の平地競走とは
平地競走とは、競走馬が平坦なコースを走り、速さを競う競馬の形式です。地方競馬ではサラブレッドによるダート競走が広く行われていますが、芝コースを使用する競走もあります。
地方競馬情報サイトによると、地方競馬の平地競走では、競馬場の1周距離がおよそ1,000〜1,600メートルのコースが見られます。中央競馬の競馬場と比べて1周の距離が短く、コーナーが急なコースも多いことから、短距離戦やコーナーを2回通過する1ターンの競走なども行われています。
ここで注意したいのが、地方競馬には平地競走とは異なる「ばんえい競馬」も含まれることです。ばんえい競馬は、北海道の帯広競馬場でのみ開催され、ばん馬が鉄製のソリを引いて障害のある直線コースを進む競技です。平地競走とは競技形式も着順判定の考え方も異なります。
レースの種類と格付けをどう見るか
地方競馬のレースは、重要度などに応じて重賞、準重賞、特別、普通競走などに区分されます。重賞競走は各競馬場の競走体系の中で重要な位置を占め、年齢や距離などに応じたシリーズが組まれることもあります。
さらに、複数の主催者や所属の枠を越えて有力馬が競うダートグレード競走もあります。地方競馬のレースを調べるときは、競馬場名だけでなく、競走の格付け、出走条件、距離、馬場状態を併せて確認すると、レースの位置づけを理解しやすくなります。
【2026年の地方競馬の実態】売得金の過去最高更新が示す変化
地方競馬の現状を把握するには、競馬場への入場者数だけでなく、勝馬投票券の発売規模や購入手段にも目を向ける必要があります。2026年4月1日に地方競馬全国協会(NAR)が公表した2025年度の開催成績は、地方競馬の事業規模を示す重要な資料です。
2025年度は売得金が約1兆1,468億円に
NARの2025年度開催成績によると、2025年4月1日から2026年3月31日までの地方競馬は、全国15競馬場で合計1,305日開催されました。総入場人員は272万9,479人で、前年度比101.1%となっています。
総売得金額は1兆1,468億6,125万5,230円で、前年度比101.6%となり、過去最高を更新しました。ここでいう売得金額は、勝馬投票券の発売規模を示す数字です。払戻金などを考慮した後の利益や、自治体に入る収入そのものを意味するわけではありません。
電話投票が総売得金の約92%を占める
同じ開催成績では、電話投票による総売得金額が1兆497億4,665万230円に達し、総売得金額の約92%を占めました。電話投票には、インターネットなどを利用した投票が含まれます。
この数字から読み取れるのは、地方競馬の事業規模を支える購入手段として、オンラインを含む電話投票が大きな役割を果たしていることです。競馬場に行くことが難しい人でも、対応するサービスを利用すれば、自宅などからレース情報を確認し、投票できる環境が整っています。
一方、入場人員と売得金額は別の指標です。入場者が増えたからといって売得金額が同じ割合で増えるとは限らず、売得金額が大きいことだけで競馬場の現地観戦が盛り上がっているかどうかも判断できません。地方競馬の実態を把握するには、複数の指標を組み合わせて見る必要があります。
売上の拡大だけでは測れない地方競馬の価値
地方競馬の経営基盤を考える際には、売得金額の推移に加え、競走の公正確保、競走馬の生産振興、地域への還元なども重要です。NARは主催者への支援や開催日程の調整、競走体系の整備などを通じ、地方競馬全体の安定的な運営を支えています。
2025年度の実績は、地方競馬が大きな発売規模を持つ事業であることを示しています。ただし、記録更新だけで制度上の課題がすべて解消したと考えるのは早計です。継続的な開催、公正なレース運営、競馬場ごとの魅力づくりをどう両立させるかが、今後も問われます。
【プロの結論】地方競馬を正しく理解するための3つの視点
地方競馬を調べるときに押さえたいのは、「法律上の区分」「運営を担う組織」「実際の競走の特徴」という3つの視点です。この3点を分けて考えることで、中央競馬との違いを過度に単純化せず、制度と競技の両面から理解できます。
視点1:地方競馬は開催場所ではなく、主催者によって区分される
地方にある競馬場で開催されることだけが、地方競馬の定義ではありません。競馬法上の区分は主催者を基準としており、都道府県や指定市町村などが開催する競馬が地方競馬に当たります。制度を理解するうえでは、競馬場の所在地と主催者を混同しないことが重要です。
視点2:中央競馬との違いは、レースごとに確認する
地方競馬と中央競馬には、開催日程やコース、登録制度などに違いがあります。しかし、地方競馬にも全国的な注目を集める重賞競走があり、交流競走では所属の異なる馬が対戦します。「地方だから一律にレベルが低い」「中央だから必ず強い」といった判断では、個々の競走の条件や適性を見落とします。
視点3:売得金額と公共的な役割を混同しない
地方競馬の売得金額が過去最高を更新したことは、事業規模を示す重要な事実です。ただし、売得金額はそのまま自治体の利益になるわけではありません。競馬法が掲げる地方財政の改善や畜産振興への寄与を評価するには、発売規模に加えて、制度に基づく資金の流れや事業の実施状況を確認する必要があります。
これから地方競馬を知りたい人は、まず開催競馬場と主催者の関係を確認し、次に出馬表、競走距離、馬場状態、レースの格付けを見ていくと理解が深まります。馬券を購入する場合は、的中や利益が保証されないことを前提に、生活費とは分けた無理のない範囲で楽しむ姿勢も欠かせません。
【地方競馬】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:地方競馬と中央競馬の最大の違いは何ですか?
A1:最大の違いは主催者です。地方競馬は都道府県や指定市町村などが主催し、中央競馬は日本中央競馬会(JRA)が主催します。開催日程や競馬場のコース、登録制度にも違いがあります。
Q2:地方競馬は毎日開催されていますか?
A2:全国の地方競馬場を合わせると、平日・休日を問わず、年間を通じてほぼ毎日どこかで開催されています。ただし、すべての競馬場で毎日レースが行われるわけではありません。開催日程は競馬場や主催者によって異なります。
Q3:地方競馬の馬券はインターネットで購入できますか?
A3:はい。対応するインターネット投票サービスを利用すれば、地方競馬の勝馬投票券を購入できます。ただし、サービスによって購入できる競走や投票法、発売時間などが異なるため、対象レースと発売条件を事前に確認してください。
まとめ:地方競馬の仕組みと中央競馬との違いを理解する
地方競馬は、競馬法に基づいて地方公共団体などが主催する公営競馬です。2026年現在、全国14団体が15競馬場で開催を担い、地方競馬全国協会(NAR)が馬主・競走馬の登録、騎手や調教師の免許、公正な開催を支える業務などを行っています。
中央競馬との違いは、主催者だけでなく、開催日程やコースの特徴、運営制度にもあります。一方で、交流競走やダートグレード競走を通じて両者の競走馬が対戦する機会もあり、地方競馬を一律に評価することはできません。
2025年度の総売得金額が約1兆1,468億円となり、過去最高を更新したことは、地方競馬の大きな事業規模を示しています。その数字を正しく読むには、発売規模と自治体の収入、現地の入場者数を区別し、制度の目的や運営の仕組みも併せて見る必要があります。
地方競馬を理解する第一歩は、競馬場の名前や馬券の種類を覚えることだけではありません。法律上の位置づけ、主催者の役割、競走の特徴、そして地域社会との関係を知ることです。それらを押さえることで、地方競馬と中央競馬の比較も、より具体的で正確なものになります。 (出典: 地方 競馬 s(Yahoo!ニュース))