【意味と使い方】「感銘を受ける」はどんなときに使う言葉?
「感銘を受ける」は、単に「よかった」「すごいと思った」と感じるだけでなく、心に深く刻まれるほど強い印象を受けたときに使う表現です。読み方は「かんめいをうける」。ビジネスから日常の改まった会話まで、幅広い場面で使えます。
小学館の『デジタル大辞泉』でも、感銘は忘れられないほど深く感じること、心に深く刻みつけて忘れないことと説明されています。「感」は感じること、「銘」は心に刻み込むことを連想させ、言葉の意味にも深さが表れています。
基本的な使い方と例文
- 先輩の仕事に対する誠実な姿勢に感銘を受けました。
- 講演で聞いた言葉に深い感銘を受けました。
- 作品に込められた作者の思いに感銘を受けた。
- 貴社の社会課題に向き合う姿勢に強く感銘を受けました。
- 困難な状況でも挑戦を続ける姿に感銘を受けました。
いずれも、対象となる言葉や行動、考え方などに強い印象を受けたことを表しています。
「感銘を受ける」と「感銘を与える」の違い
「感銘を受ける」は、心を動かされた側の視点です。一方、「感銘を与える」は、相手の心を動かす側の視点で使います。
例えば、「私は彼のスピーチに感銘を受けた」と「彼のスピーチは聴衆に感銘を与えた」は、同じ出来事を異なる立場から表現しています。
また、「感銘を覚える」「感銘する」といった表現もありますが、日常のビジネス文書では「感銘を受けました」が意味を伝えやすく、幅広く使える言い方です。
【違いを比較】「感動」「感心」「感激」とはどう使い分ける?
「感銘を受ける」の類語には「感動する」「感激する」「感心する」「心を打たれる」などがあります。意味が近くても、伝わるニュアンスは同じではありません。
小学館の『類語例解辞典』でも、感動・感激・感銘・感心は、心が動かされるという共通点を持ちながら、使い分けられる言葉として整理されています。
感動との違いは「心に残る深さ」
「感動」は、心が大きく動いたこと全般に使える表現です。映画を見て涙を流したときや、美しい景色を見たときにも自然に使えます。
一方、「感銘を受ける」は、その体験が心に深く刻まれ、後々まで印象に残るというニュアンスが強い言葉です。例えば、映画を見て涙が出たなら「感動した」、登場人物の生き方が自分の考え方を変えるきっかけになったなら「感銘を受けた」と表現できます。
ただし、両者の境界線が明確に決まっているわけではありません。深く心を動かされた体験には、どちらも使えます。
感心との違いは「評価」と「深い印象」
「感心する」は、相手の能力や行動を優れていると認めるニュアンスを持ちます。「感銘を受ける」は、相手を評価するだけでなく、その言動や考え方が自分の心に深く残ったことを伝えます。
特に注意したいのは、目上の人に対する使い方です。「社長の判断力に感心しました」と伝えると、相手を評価する立場にいるような響きが生まれる場合があります。「社長の迅速かつ的確なご判断に深く感銘を受けました」とすれば、敬意を伝えやすくなります。
「共感」と「感銘」はどちらを選ぶべき?
企業の理念や人の考え方に触れた場合は、何を伝えたいのかで使い分けます。
- 共感した:相手の考えに賛同し、自分も同じ方向を向いている。
- 感銘を受けた:相手の考えや姿勢に深く心を動かされ、強い印象が残った。
就職面接で企業理念への賛同を伝えるなら「共感しました」、その理念を体現する社員の行動に心を動かされたなら「感銘を受けました」が適しています。両方を使う場合も、同じ意味の言葉を重ねるのではなく、それぞれの理由を具体的に説明すると伝わりやすくなります。
【類語・言い換え】状況に合わせて自然な表現を選ぶ
「感銘を受ける」は丁寧で改まった表現ですが、すべての場面に適しているわけではありません。相手との関係、感情の強さ、伝えたい内容に合わせて言い換えると、文章が自然になります。
ビジネスでも使いやすい言い換え表現
- 深く心を打たれました:相手の言葉や行動に強く心を動かされたことを伝える。
- 大変印象に残りました:強い感動を断定せず、落ち着いた表現で伝える。
- 深く感服いたしました:相手の優れた能力や判断、仕事ぶりを高く評価する。
- 大変勉強になりました:相手から学びを得たことを伝える。
- 強く共感いたしました:相手の理念や考え方に賛同していることを伝える。
- 大変感動いたしました:作品や出来事などに心を動かされたことを伝える。
「感服いたしました」は相手の力量に敬意を示す表現として便利ですが、日常的な感想には少し重く聞こえることがあります。「勉強になりました」は学びを得たことに重点があるため、深い感動まで伝えたい場合は「お話から多くの学びを得るとともに、深く感銘を受けました」のように組み合わせてもよいでしょう。
言い換えの判断基準
迷ったときは、次のように整理すると選びやすくなります。
- 相手の信念や生き方に深く心を動かされた → 「感銘を受けました」
- 相手の仕事ぶりや判断の優秀さを認めたい → 「感服いたしました」
- 相手の意見に賛同していることを伝えたい → 「共感いたしました」
- 学びや実務への気づきを伝えたい → 「大変勉強になりました」
- 率直な感想を簡潔に伝えたい → 「印象に残りました」
言い換えでは、単に丁寧そうな言葉を選ぶのではなく、伝えたい気持ちを正確に表すことが大切です。
【ビジネスメール・敬語】目上の人に失礼なく伝える例文
「感銘を受けました」は、目上の人にも使える丁寧な表現です。ただし、このフレーズ自体が特別な尊敬語というわけではありません。相手の話や行動に心を動かされたという自分の気持ちを、丁寧に伝える表現です。
ビジネスメールでの例文
上司や取引先から話を聞いた後、お礼とともに感銘を受けたことを伝える場合は、次のように書けます。
本日は貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。
特に、困難な状況においてもお客様の立場を第一に考えるというお話に、深く感銘を受けました。
私自身も、日々の業務において相手の視点を大切にし、よりよい対応ができるよう努めてまいります。
今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
この例文のポイントは、感銘を受けた内容を具体的に示し、今後の行動につなげていることです。「感銘を受けました」とだけ書くよりも、相手への敬意や話を真剣に受け止めた姿勢が伝わります。
目上の人に使うときの敬語表現
相手に合わせて、次のような表現も使えます。
- 「〇〇様のお話に深く感銘を受けました」
- 「先日のご講演は大変印象深く、多くの学びを得ました」
- 「〇〇様のご判断と行動力に、深く感服いたしました」
「感銘を受けられました」は、文脈によって尊敬表現にも受け身にも解釈されるため、相手の気持ちを述べる場合は「〇〇様は、どのような点に感銘を受けられましたか」と主語を明確にすると誤解を避けやすくなります。
また、「深く感銘を受けさせていただきました」のように敬語を重ねる必要はありません。「深く感銘を受けました」で十分に丁寧です。簡潔で明瞭な表現のほうが、ビジネス文書では読みやすくなります。
【面接・就活】感銘を受けた経験を説得力のある言葉で伝える
就職面接やエントリーシートでは、「御社の理念に感銘を受けました」という表現が使われることがあります。ただし、それだけでは志望理由として具体性に欠け、応募者自身の価値観や行動が伝わりにくくなります。
大切なのは、何に感銘を受けたか、なぜ心を動かされたか、その経験が自分にどのような変化をもたらしたかを一続きで説明することです。
面接で使える例文
私が御社の事業に感銘を受けたのは、顧客の課題を解決するだけでなく、その先にある社会的な価値まで考えている点です。
大学でのプロジェクト活動を通じて、目の前の課題を解決するだけでは、長期的な成果につながらない場合があると学びました。そのため、短期的な成果と長期的な価値の両方を重視する御社の姿勢に強く共感しました。
入社後は、相手の課題の背景まで理解し、継続的な価値を生み出せる人材を目指したいと考えています。
この例文は構成の見本です。実際の面接では、応募する企業の事業や理念について自分が調べた内容と、自分自身の実体験に置き換えてください。経験を実際以上に大きく見せる必要はありません。
感銘を受けた経験を伝える4つのステップ
1. 対象を明確にする: 誰のどのような言葉、行動、考え方に心を動かされたのか。
2. 理由を説明する: なぜ印象に残ったのか。自分の経験や価値観とどう結びついたのか。
3. 変化を伝える: その経験を通して、考え方や行動がどう変わったのか。
4. 今後につなげる: 学んだことを仕事や将来の目標にどう生かすのか。
面接官が知りたいのは、きれいな言葉を使えるかどうかだけではありません。応募者が何を大切にし、どのように考え、行動する人なのかという点です。
そのため、「感銘を受けた経験」を話した後に、「その経験から何を学びましたか」「その後、具体的に何か行動しましたか」と質問されても、自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
【誤用と英語表現】間違いやすい言い方と海外での伝え方
意味が近い言葉が多い「感銘を受ける」は、使い方を間違えると不自然になったり、気持ちが大げさに伝わったりする場合があります。英語に訳すときにも、文脈に応じた表現選びが必要です。
よくある誤用と注意点
1. 「感銘に受ける」と書く
一般的な表現は「感銘を受ける」です。「感銘に受ける」は助詞の使い方が誤っています。
- 正しい例:先生の言葉に感銘を受けました。
- 誤った例:先生の言葉に感銘に受けました。
2. 「感銘を打たれる」と書く
「感銘を受ける」と「胸を打たれる」が混ざった表現です。どちらかに統一すると自然になります。
- 正しい例:その話に感銘を受けました。
- 正しい例:その話に胸を打たれました。
3. ささいな出来事に大げさに使う
日常の小さな発見や軽い感想に「深く感銘を受けました」と使うと、状況によっては大げさに聞こえます。「参考になりました」「印象に残りました」「勉強になりました」など、感情の強さに合った表現を選びましょう。
4. 何に感銘を受けたのかを省略する
「御社に感銘を受けました」「とても感銘を受けました」だけでは、何が心に響いたのかが曖昧です。理念、取り組み、具体的な発言など、対象を示すと伝わりやすくなります。
なお、風景や自然に心を動かされた場合でも「感銘を受けた」と表現することが絶対に誤りというわけではありません。ただし、一般的な会話では「美しい景色に感動した」のほうが自然な場合が多く、言葉の選択は文脈によって変わります。
「感銘を受ける」の英語表現
英語では、何にどのような気持ちを抱いたかに応じて表現を使い分けます。アルクの『英辞郎 on the WEB』や小学館の英和辞典などでも、感銘を表す表現として be impressed by などが紹介されています。
- be deeply impressed by ~:~に深く感銘を受ける。
- be impressed with ~:~に強い印象を受ける、感銘を受ける。
- be moved by ~:~に心を動かされる、感動する。
- be struck by ~:~に強い印象を受ける、はっとさせられる。
具体的な例文を見てみましょう。
例文1:本の内容に感銘を受けた
I was deeply impressed by the book.
(私はその本に深く感銘を受けました。)
例文2:相手の言葉に心を動かされた
I was deeply moved by her words.
(私は彼女の言葉に深く心を動かされました。)
例文3:仕事に対する姿勢に感銘を受けた
I was impressed by his dedication to his work.
(私は彼の仕事に対する献身的な姿勢に感銘を受けました。)
impressed は強い印象や評価を受けたことを伝えやすく、moved は感情的に心を動かされたことを強調します。日本語と完全に一対一で対応するわけではないため、文章の目的や相手との関係に応じて選ぶのがポイントです。
【感銘を受ける】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「感銘を受ける」と「感動する」は、どちらが強い表現ですか?
A1:単純にどちらが強いとは決められません。「感銘を受ける」は、心に深く刻まれ、長く印象に残るニュアンスが強い表現です。「感動する」は、心が大きく動かされることを幅広く表します。

Q2:「感銘を受けました」は目上の人にも使えますか?
A2:はい。目上の人の話や行動、仕事への姿勢などに深く心を動かされたときに使えます。「〇〇様のお話に深く感銘を受けました」のように、対象を具体的に示すと敬意が伝わりやすくなります。
Q3:面接で「感銘を受けました」を使うと評価されますか?
A3:表現そのものが評価を保証するわけではありません。何に心を動かされたのか、その理由や自分の行動への影響まで説明することで、志望動機に具体性が生まれます。
Q4:「感銘を受ける」の類語には何がありますか?
A4:「心を打たれる」「深く感動する」「感服する」「印象に残る」などがあります。相手の優れた点を評価したいなら「感服する」、率直な感想なら「印象に残る」、心に深く刻まれた経験なら「感銘を受ける」が適しています。
Q5:「感銘を受ける」を英語で何と言いますか?
A5:代表的な表現は「be impressed by ~」です。「深く感銘を受けた」なら「be deeply impressed by ~」、「心を動かされた」なら「be moved by ~」が使えます。
まとめ:相手に伝わる「感銘を受ける」の使い方
「感銘を受ける」は、忘れられないほど深く心を動かされたことを表す言葉です。ビジネスメールや面接、目上の人との会話でも使えますが、言葉そのものよりも、何に心を動かされたのかを具体的に伝えることが大切です。
使い分けに迷ったときは、次の3点を基準にしましょう。
- 心に深く刻まれた経験を伝えるなら「感銘を受ける」。
- 感情が大きく動いたことを幅広く伝えるなら「感動する」。
- 相手の優れた能力や行動を評価するなら「感服する」や「感心する」。
面接では感銘を受けた理由とその後の行動を、ビジネスメールでは対象への敬意と具体的な感想を添えると、言葉に説得力が生まれます。適切な言い換えも取り入れながら、自分の気持ちに最も近い表現を選んでください。 (出典: 感銘 を 受ける(Yahoo!ニュース))